
その初めての選挙の時から悩まされたのが、選挙及び政治活動のルールを定めている「公職選挙法」。そもそもの立法趣旨としては、誰もがお金をかけずに選挙に立候補できるようにというもので、そのために選挙で利用できる車の台数からビラの枚数まで細かな制限が設けられています。
しかしながら一つ一つの条文を見ていくと、お金をかけないと準備できないもの、対応するのに時間と手間がかかるため、結果としてお金のかからない選挙に逆行している規制も多いのが実態です。
このような実態を踏まえ、本日総務省政務三役宛に公職選挙法の見直しに関する要望書を提出しました。この問題は党内でも議論していることから、同時に明日にも民主党の政治改革推進本部宛に提出する予定です。
合計6通の要望書を提出しましたので、順次ご紹介していきます。
第1回は、冒頭の写真にも掲げた政治活動用のポスターについてです。
以下にその提言書をご紹介いたします。
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片山 善博 総務大臣
平岡 秀夫 総務副大臣
鈴木 克昌 総務副大臣
内山 晃 総務大臣政務官
逢坂 誠二 総務大臣政務官
森田 高 総務大臣政務官
衆議院議員 長島 一由
公営掲示場以外へのポスター掲示の禁止を求める提言
日々のご尽力に敬意を表します。
現在、各地域において政治活動用のポスターが掲示されております。これは公職選挙法第143条 第16項で認められており、その掲示期間は同法143 条 第19項で定められています。 このことは有権者の知る権利に応える一方で、まちの美観・景観上、望ましくないことはもとより、お金のかからない選挙の阻害要因となっています。
選挙時においては、公営掲示板以外に政党候補は掲示できます(公選法145条)が、限られた選挙期間という制約から選挙の公示日又は告示日から短期間に一斉に掲示する必要から、手間やコストが膨大にかかる領域といえます。
特に、衆議員選挙においては解散した場合に政治活動用ポスターについては公選法143条第19項の規定により、直ちに掲示したポスターを撤去しなければなりません。
さらに、解散から衆議院選挙の公示日までは、公選法201条第14項1からの解釈により、政党の街頭演説会告示用のいわゆる2連ポスターを掲示できますが、公示日には公選法201条第14項1の規定により、候補者に関する情報が掲示された2連ポスターを撤去しなければなりません。
つまり、仮に衆議院小選挙区の候補者又は候補予定者が、日常の政治活動用に1000枚のポスターを掲示していたとすれば、解散した日に1000枚の政治活動用のポスターを張り替え、50日以内の公示日に再度1000枚の2連ポスターを張り替えることになるほか、衆議員選挙後には1000枚の政党ポスターを撤去することになります。
短期間に3度も1000枚ものポスターを張り替えることになり、そのコストと手間は膨大なものになります。
またこれら政治活動用のポスターは選挙区の住民等にお願いして掲示させてもらうわけですが、掲示のお願いから、風雨などではがれた場合の対応まで含めると、各候補とも相当な時間を投入しているのが実情で、結局それは秘書人件費として最終的には国民の負担につながっています。
また選挙区の有権者が自宅等にポスターを掲示させてあげることは、政治家にとっては大きなメリットを享受できることになります。 政治家への企業献金、個人献金が政治資金規正法で厳しくルール化されているのは、献金をした特定の企業、個人が有利な扱いを受けるのを防ぐためと認識していますが、ポスターを掲示してもらうことも政治家にとっては献金以上にありがたい場合もあります。地域で大量にポスターを掲示してくれる企業・団体に対して政治上有利な扱いがあった場合、これは賄賂にも等しい効果を生むことになります。しかし、これを罰することはできません。
総務省の選挙課に、これらの公職選挙法の立法趣旨を問い合わせたところ、「公職選挙法の129条よりも後の条文についてはほぼ全部が議員立法で成立したため正確のところはわからない」などとしており立法趣旨もあいまいです。これでは現職議員が有利になるように新規参入を阻むようルール化されたとの誹りを受けても否定できにくいのではないかと思います。
以上のことから、極力お金のかからない政治活動・選挙活動を実現するために、公職選挙法の上記関連条文を改正し、公営掲示場以外におけるポスターの掲示を禁止することを提言いたします。
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